スペインのサッカーの伝統の一戦である
「クラシコ」を観た。
「クラシコ」は英語の「クラシック」であり、バルセロナとレアル・マドリッドの一戦の事である。
バルセロナの本拠地カタルーニャ地方は1925年のクーデターによる軍事政権以後、
約50年もの間、マドリッドに首都を置くフランコ独裁政権(中央政府)によって
独自の言語、旗、伝統的な音楽までも禁止され、自由を奪われた。
バルセロナにとってレアル・マドリッドは中央政府の象徴であり、
弾圧されたカタルーニャの人間にとってバルセロナがレアル・マドリッドに勝つということは、
中央政府に対する勝利も意味するのである。
逆にマドリッドは首都ではあるが、経済的にも中心になれず、
首都という肩書き以外には何も持っていないとバカにされている。
しかし、そのマドリッドが唯一持っているものが首都という誇りとタイトルを多く獲得しているレアル・マドリッドであり、
その威厳を守るためにはサッカーでバルセロナに負けるということは許されないのである。
このように、歴史的にも因縁深い戦いなのである。

今回はバルセロナのホームでの戦いであったが、サポーターの反応はさすがと言うべきであろう。
バルセロナへの声援とレアルへのブーイングがハンパやなかった。
まさに、敵対心剥き出しやった。
結果は3−0でホームのバルセロナが勝利した。
サッカーはホームのチームが圧倒的に有利であるのは間違いない。
しかし、今回の戦いはホーム・アウェイ関係なく、
現時点での両チームの妥当な結果であったと思う。
バルセロナはとても素晴らしいチームであった。
組織だった守備からの、流れるような攻撃。
見事見事の連続。
今のバルサの攻撃はまさにスペクタクルであると思う。
一方、レアルはチームではなく、選手個人の技術だけで勝負していた。
つまり、局面局面では11人対1人の戦いになっているのである。
僕は試合開始からバルセロナに1点入るまでの数十分間ヒリヒリした緊張感を感じた。
どちらにも負けられないという思いが感じられた。
さすが、伝統の一戦やった。
しかし、時間がたつにつれレアルはボールを追いかける単なる牛となり、バルサの方は華麗なマタドールとなっていった。
観客席からも「オーレ、オーレ」の大合唱。
ここまで実力差を感じるとは思わなかった。
次のクラシコはレアルのホームで行われる。
ホームのお客さんの前では負けられないレアルがどのように意地を見せるか、楽しみである。