
思っていたよりかなり面白かった作品です。
原作も読んだことがあるのですが、
個人的には原作よりも映画の方が内容が充実していて楽しめました。
主人公は太宰治と思われる大谷とその妻・佐知の物語。
しかし、太宰治は本当にダメな奴ですねぇ(^^)
そのダメなやつを浅野忠信が良い感じで演じているんですよ。
そのダメさに何回か吹き出して笑ってしまいました!!
例えば、働くことに喜びを覚えた佐知は大谷に対して
「とっても私は幸福よ。」と言いいます。
それに対して大谷は、
「女には、幸福も不幸も無いものです。」
と事も無げに答えるのです。
自分の借金のために働いている妻に対してですよ!!
ダメなやつでしょ!?
そこで、人のいい妻は大谷に対して
「そうなの? そう言われると、そんな気もして来るけど、それじゃ、男の人は、どうなの?」
と問いかけます。
大谷の答えは・・・
「男には、不幸だけがあるんです。いつも恐怖と、戦ってばかりいるのです。」
と答えるのです。
笑けるくらいダメなやつでしょ!?


もちろん、大谷には大谷の哲学があり、納得できるというか、
分からないでもないなと共感できるところもあるのです。
とにかく、この2人のやり取りや2人の関係性が面白いんですよ!!
夫婦の関係性や男女の在り方なんかが含まれており、なかなか考えさせられるのです。
しかも、ここに様々な人が絡んでくるという重層感。
ただやはり、なんといっても佐知ですね。
原作でも素敵な女性なのですが、松たか子がより魅力的で、かつ、人間的な女性にしていました。
特に、働いてチップをもらった佐知が
「私って、お金になるんですね!」
という瞬間は言葉にならないくらい美しいシーンでした。
舞台設定の世界観も衣装も非常に美しく素晴らしいです。
また出てくるお料理も美味しそうでさすが飯島奈美という仕上がり。
そのほかの俳優陣も押し並べて素晴らしいので、
まだ見たことのない人はぜひご覧ください。
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