映画
「十三人の刺客」を観ました。

めちゃめちゃ面白かったです。
色々な伏線が絡み合う何たるカタルシス!!!
あのシーン、あの瞬間のカタルシスはなかなか脳裏から離れません。
人を切った事のない侍が大半の江戸末期。
侍とは何をする為に存在しているのか?
その答えを侍自身も見失いそうな太平の世。
その中で、自己の存在意義を見つけた者たちの幸福感を見事に描いていると思います。
ともすれば勧善懲悪の分かりやすい映画ですが、
「悪」とは何かをきちんと見据えなければいけない事を
この映画は観客の我々に語りかけてくる素晴らしい映画です。
その点について、「悪」を演じる稲垣吾郎が見事でした。
この映画は単純な「悪」を描いておりません。
ある瞬間、善悪の境界線の曖昧模糊さを感じさせられます。
今作の「悪」は上述した侍の存在意義や士農工商制度を十二分に理解している人物なのです。
江戸時代の末期に起こっている制度疲労を十分に認識しているからこそ、
その制度の原理主義的な所作振舞いを、ある意味意図的に行う。
そして我々に選択を迫ってくるのです。
もし仮に、他の者がその行為を批判した時、
批判した者は気づいていないかもしれないが、
自分達が拠って立つ制度の賞味期限が切れているという事を
無意識に表しているのです。
今作の「悪」は自分達の世界が活性化していない事による、
世界の停滞感を誰よりも感じている人物なのです。
彼の「戦国の世を復活させたい」という発言について
競争する事を忘れた者たちにとっては
ご乱心ゆえの発言にしか聞こえないかもしれないが、
危機感を有している者にとっては、その規制緩和の必要性や
大きな大きな制度変革の重要性が染みる事になるであろう。
脚本が本当に素晴らしい。
ある意味では
「ダークナイト」にも通ずる所があると思います。
稲垣吾郎をはじめ山田孝之など出演者もみな素晴らしかったです。
単なる時代劇としてみれば、単なる時代劇で終わる作品ですが、
我々個人の価値観を揺さぶり、
かつ、
現代の日本にも通じる示唆にとんだ作品として観る事もできる秀作でした!!
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